最近よく耳にする「リミティング・ビリーフ」とは、どんなものなのでしょうか?
こちらでは、リミティング・ビリーフとは何かというところから、リミッティングの診断や解除方法など、幅広く解説していきます。
リミティング・ビリーフって何のこと?
自分自身の考えや気持ち、行動などを制限してしまうことを「リミティング・ビリーフ」と呼びます。
「トラウマ」や「固定観念」に近いと感じる人も多いです。
固定観念は必ずしもネガティブなものだとは限らないけれど、リミティング・ビリーフはネガティブなものとなって心に強く存在します。
リミティング・ビリーフは、幼少期に両親からいわれたネガティブな言葉や指導が刷り込まれ、心の中に取り込まれることが原因で作りだされるといわれています。
いつ取り込まれたか、ということは自分ではわからないので、無意識のうちにリミティング・ビリーフが自分の中に存在してしまうのです。
リミティング・ビリーフは24ある?
リミティング・ビリーフはいくつあるのか、という考え方についてはさまざまな意見がありますが、24個あるという説が有力です。
「24のリミティング・ビリーフ」は、以下の通り。
①重要な存在であってはいけない
②欲しがってはいけない
③成し遂げてはいけない
④成功を感じてはいけない
⑤人に近づいてはいけない
⑥人を信用してはいけない
⑦集団に属してはいけない
⑧感謝をしてはいけない
⑨子どもであってはいけない
⑩成長してはいけない
⑪セクシーになってはいけない
⑫考えてはいけない
⑬自由に行動してはいけない
⑭親から離れてはいけない
⑮健康であってはいけない
⑯正気であってはいけない
⑰感じてはいけない
⑱楽しんではいけない/幸せを感じてはいけない
⑲くつろいではいけない
⑳存在してはいけない
㉑ありのままの自分であってはいけない
㉒自分の性別であってはいけない
㉓見えてはいけない
㉔愛着を感じてはいけない
これらのリミティング・ビリーフが、その人の気持ちや行動を制御して、いきいきとした人生を送る妨げとなってしまうのです。
なぜリミティング・ビリーフがよくないとされるのか
先に挙げた24個のリミティング・ビリーフは、すべて「〜はいけない」という言葉で締めくくられています。
これだけ否定的な言葉で自分の考えや気持ちを否定されてしまっては、自分の人生を切り開いていくことができません。
両親は、小さいころに自分の欲望だけで行動してしまうと社会性が養われないため、「○○してはいけないよ」と教えることがあります。
こうしたビリーフ(信念)に子供時代は守られてきた一面もあったはずです。
しかし、何らかの形で大人になって生き辛さを感じさせるものになってしまうと、何かにつけて恐れを感じて行動できない、周囲との調和を作ることができないといったことが起こってしまいます。
リミティング・ビリーフを解除するには
リミティング・ビリーフを解除するには、精神科医やセラピストなど専門知識を持つ人の診療を受けることが望ましいです。
ですが、ここで自分ができるリミティング・ビリーフの解除について考えてみたいと思います。
基本は「意識を変える」こと
「リミティング・ビリーフを解除する」と思うと、すごく難しいことに感じるかもしれません。
しかし実は意外とシンプルで、「意識を変える」ことができれば、リミティング・ビリーフも自然と解除できることがあります。
よくいわれるのが、ネガティブな思考をポジティブに変換するというもの。
リミティング・ビリーフも先に解説したように、ネガティブな思考でできています。
ネガティブな思考にとらわれてしまいそうになったら、すぐにポジティブな思考に変換してしまうのです。
例えば「存在してはいけない」という思いにとらわれそうになったら、人から「ありがとう」といわれたときのことや、感謝されたときのことを思い出してみましょう。
すると自分の存在意義を感じることができ、「存在してはいけない」という思いを少しでも払拭できるはずです。
「人に近づいてはいけない」と無意識に思ってしまったら、人があなたを頼ってくれたことを思い出してみる。
「健康であってはいけない」といった考えが浮かんできたら、新鮮な空気を吸ったときの心地よさを思い出す。
ネガティブな気持ちをその度にポジティブ変換する習慣をつけると、次第に負の感情にとらわれなくなります。
違和感に気づくまでとことん考える
うまく考え方の転換ができない人は、リミティング・ビリーフについてとことん考えてみましょう。
リミティング・ビリーフは自分の気づかないところで心に留まっていますので、うまく行かないのはリミティング・ビリーフにとらわれているせいだ、と気づくことが難しいです。
しかし、リミティング・ビリーフに気づくことで、人生の状況を変えることができる場合があります。
まず「生きづらい」と感じているのであれば、なぜ生きづらいと感じるのかを徹底的に考えてみます。
いつ感じるのか、どうしてそう感じるのか、感じないときはあるか…。
いつどのように生きづらいと感じるかがわかったら、その原因が見えてくるはずです。
例えば、「自分が言いたいことを相手にうまく伝えられない」ことが原因であれば、なぜうまく伝えられないのかを今度は徹底的に考えます。
少しでもうまく伝えられる人はいるか(ペットでも構いません)、なぜその人にはうまく伝えられるのか…。
こうして、人生に違和感を与えるものを突き詰めて見つけ、それを排除することでリミティング・ビリーフを解除できます。
リミティング・ビリーフをエンパワリング・ビリーフに変える
「エンパワリング・ビリーフ」は、自分に活力を与えてくれる思考のことです。
リミティング・ビリーフをエンパワリング・ビリーフに変換することで、リミティング・ビリーフの解除につながります。
エンパワリング・ビリーフに書き換える方法
例えば、「失敗が怖いから行動できない」と考えてしまうときは、「失敗するからこそ成長できる」と考えます。
先に解説した、「ポジティブ思考への変換」と通じるものがありますね。
周囲の目が気になって仕方ないときは、「自分が思うほど人は自分に注目していない」と考える。
「自由に行動してはいけない」と悩んでしまうのであれば、「悩みや苦労も楽しんでしまおう」と考える。
これらの思考の変換は、無理やり変えているのではなく、的を得ているものばかりです。
リミティング・ビリーフとエンパワリング・ビリーフは表裏一体であり、どちらが正しい、間違っているというものではありません。
むしろ、根本は同じであるともいえます。
同じビリーフを自分にパワーがみなぎるものに変えてしまうことで、人生が一気に明るく開けていくのです。
「ビリーフ」を味方につける
リミティング・ビリーフは、必ずしも悪いものだというわけではありません。
「自分に価値がない」という思考にとらわれていた人が、「価値のある自分になりたい」と相当の努力をして大きな仕事を成功させたというケースもあります。
リミティング・ビリーフであれ、エンパワリング・ビリーフであれ、思考や信念に振り回されてしまうのではなく、「ビリーフ」を味方につけて自分の成長につなげることが重要なのです。
リミティング・ビリーフに悩まされている人は、ぜひ思考の転換を意識してみてください。
習慣化することで、自分の人生に関わるものの見え方がまるで違ってきます。

小さいことから思考の変換をしてみよう!